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BASSONICで聴く映画 第44回(コープス・ブライド)

ハロウィンにふさわしい映画はいくつもありますが、今回は「ティム・バートンのコープスブライド」を取り上げます。ティム・バートンと言えばなんと言っても「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」が思い浮かびますが、こちらのコープス・ブライドもかなりの傑作です。何より「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」から12年の歳月を経ており、当時の最新技術で撮られた本作品の映像は今の目で見ても素晴らしいものがあります。

念の為申し上げますが、この作品はストップモーションアニメといって、人形を少しづつ動かしながら一コマずつ撮っていって、アニメーションにするという気の遠くなるような作業をして撮影したものです。「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」では若干ぎこちない動きだったものがなめらかに動いており、それだけでも素晴らしいのですが、ティム・バートンらしく徹底的にこだわり抜いた世界観と人形や建物のデザインを見ているだけでも楽しめます。

 

舞台は19世紀のヨーロッパ、没落貴族の娘・ヴィクトリアと貴族の地位を目的に政略結婚させられる豪商の息子・ヴィクター。一目見て、お互いを気に入った二人だったのですが、結婚式のリハーサルで誓いの言葉を覚えられず、神父から結婚式の延期を言い渡されてしまいます。ヴィクターはその夜、森で誓いの言葉を練習していましたのですが、彼女の指に見立てた枯れ枝に結婚指輪をはめたところ、土が盛り上がり中からコープスブライド(死体の花嫁)・エミリーが現れます。自分にプロポーズしたものと思い込んだ彼女はヴィクターを地中の奥深い死者の世界に連れ去ってしまいます。ヴィクターとヴィクトリアの結婚はどうなってしまうのか?

 

全体的にホラーチックなデザインではありますが、エミリーはそれでも美しく魅力的に描かれており、もう一人のヒロインであるヴィクトリアよりも魅力的です。「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」でもそうでしたが、ティム・バートンは人ならざるものへの愛情が深く、この作品でも不気味ではあるもののユーモラスに骸骨やモンスターを非常に人間的に描く一方、生きている人間の方は不気味で愛が乏しいキャラクターがほとんどという、そりゃあヴィクターもエミリーに惹かれてしまうのも宜なるかなという逆転した世界を描いている点が、いかにもティム・バートンらしい映画になっています。

この映画のラストシーンは非常に美しく、製作者たちのエミリーへの愛情が詰まっており、ぜひ大画面で見ていただきたい素晴らしいシーンです。

 

音の方も拘りを感じる録音で、効果音・声の分離がよく、様々な方向から鳴ってくれます。一方、一応ミュージカル仕立てではあるものの、楽曲の方は、ミュージカルというよりもストーリーを見せることを優先した結果だと思いますが、それほど拘りを感じられず、その点は「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の方が印象的な曲が多く好きです。

 

映画をみるなら、ぜひ迫力のある音で御覧ください。小型でも映画館並みの迫力のある音を聴くことが出来ます。

BASSONICレンタルページ

https://sparkynoise-rental.jimdofree.com/

 

それでは良い音をお楽しみください。