BASSONICで聴く映画 第15回(ウォッチメン)

最近の映画は「ヒーロー物ばかりでつまらない」とお嘆きの方も多いと思います。アベンジャーズ関連の映画の大ヒットは、さらなるヒーロー物の濫造を呼び、近年のヒット映画というとほとんど〇〇マンなんじゃないかと思うほどです。

 

「ウォッチメン」もまたヒーロー物ではあるのですが、それらのものとはだいぶ異なり、どちらかと言えばピカレスクロマンと言った方が正しいです。ウォッチメンはマスクをした自警団で、とてもタフですが、あくまで普通の人間です。時は冷戦時代で、ニクソン大統領が三選したことになっています(現実では二選)。この映画の時代ではすべてのヒーロー活動が禁止されているのですが例外が一人います。写真の真ん中のDr.マンハッタンです。Dr.マンハッタンは青く光る裸!のおっさんなんですが、未来予知、サイコキネシス、テレポート、分身、巨大化とほとんど何でもありの超能力者で、さらに知性も考え方も人類とはかなり異なる存在で、ベトナム戦争も彼がいたことでアメリカが勝っています。彼の存在が核兵器以上の驚異であり、そしてアメリカ人であることがソ連の驚異となっているという世界観です。

 

ある時、元ウォッチメンの一人が殺され、他のウォッチメンの一人、ロールシャッハが捜査に乗り出すところから物語が始まります。

このロールシャッハの、悪は絶対許さないという信念と行動が、この映画の大きな魅力です。

 

たとえ米ソの全面核戦争が始まるとしても悪は許せないロールシャッハと、全面核戦争を防ぐためならどんな行為も正当化されると考える黒幕。そしてラストのロールシャッハジャーナルが堪りません。念の説明すると、1989年のベルリン崩壊くらいまで、全面核戦争が起きて世界が死の灰に覆われると本気で心配をしていた頃の話なので、そうした時代背景だということを頭に入れておかないと違和感を感じると思います。

 

さて音質ですが、ザック・スナイダー監督らしいケレン味のあるサウンドデザインで、なかなかいい音が入っています。サラウンド感も良く、ロールシャッハの少しかすれた渋い声もたまりません。

ヒーロー物らしく、効果音のケレン味が強いので、戦闘シーンもかなり迫力がありますが、人によってはわざとらしいと感じるかもしれません。

BGMも70年代を意識した曲(ボブ・ディランの曲やサウンド・オブ・サイレンスなど)が多数入っていて、マスタリングの音源が良いのか、かなり良い音で聞くことが出来ます。70年代の曲が好きな方はそちらも楽しめると思います。

 

エログロが多めで、初見ではかなりギョッとしますが、大人向けの苦味の多いストーリーであり、勧善懲悪なものとは一線を画します。

全面核戦争を止めるという目的のためなら、何をしても許されるのか?

ウォッチメン(強い力を持つ者)はだれが監視(ウォッチ)するのか?

といった事を考えさせられ、スカッとする終わり方ではなく、ジワジワくる終わり方も大人向けです。

 

ご興味を持たれた方はぜひ、ご覧ください。

 

それでは良い音をお楽しみください。