
BASSONICで聴く映画 第9回目は、「LION/ライオン〜25年目のただいま〜」です。
グーグルアースで自身の出身地を探し出した人がいるというニュースが、だいぶ前に流れましたが、それを映画化したものです。
そもそもどういう事かと言うと、主人公のサルーは、インドで母と兄と妹の4人で暮らしていたのですが、生活は貧しく、兄とサルーは盗んだ石炭や拾った物を売って食費の足しにしていました。
ある夜、母が働きに出かけた後、兄と二人でまた拾い物を集めに出掛けたのですが、サルーは眠くなり、ベンチで寝てしまいます。兄の方は、もっと仕事を続けようと、サルーを置いて行ってしまいます。
サルーは夜中に目が覚めると、兄がいない事に気付いて探しに行くのですが、止まっている列車の中で、また眠ってしまいます。
その列車は回送車で、サルーが起きた時には列車は既に走っていて、列車が止まった時には故郷から1600kmも離れた街カルカッタでした。
サルーは当時5,6歳で、出身地の村の名前も正確には覚えておらず、地図をいくら探してもサルーの言う村は無いため、オーストラリアで里親をしてくれる夫婦に引き取られ…というお話です。
実話と言う事もあり、脚色などは極力抑えているので淡々とお話は進みますが、子供の頃のサルー役の子が凄く健気で可愛い事もあり、中弛みする様な事もなく、ハラハラしながら見守るうちに前半が終了し、25年後の後半へと続きます。
さて、普通の映画レビューサイトのような事ばかり書いてしまいましたが、今作のような感動作の場合、音響的に気になる点は次の2点になります。
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抒情的なBGM
冒頭の曲「Lion Theme」では、豊かなピアノの音が気持ちを盛り上げてくれて、サルーの故郷への思いが表現されていたと思います。また、大人になり母との再会でかかる「Mother」は、ピアノとチェロ(もしくはビオラ)の音が印象的で、再会を喜ぶシーンを更に盛り上げてくれました。
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セリフの中の感情の機微の表現
例えば、大人になったサルーが、育ての母(スー)に故郷を探していることを告げられずにいる時に、スーが引き取ったことは必然だったということを話すシーンがあるのですが、発音がかなりソフトなシーンでも全部音がつながったりせずちゃんと聞こえるというのは、なかなかすごいことだと思います。
それでは良い音をお楽しみください。